BUYERS' RECOMMEND|Vol.9
2023.02.22

BUYERS' RECOMMEND | あのバイヤーが推す最旬アイテム
Vol.9:O、EDISTORIAL STORE、KIKUNOBU編

ファッション業界の最前線で活躍するバイヤーの目利きに頼って選び抜かれたアイテムを、リアルなコメントと共にHONEYEE.COMが連載形式で紹介しようというこの企画。第9回目は O、EDISTORIAL STORE、KIKUNOBU から3名の名物バイヤーが登場。

Text Takaaki Miyake

O

2012年に1号店を代官山にオープンして以来、同エリアを代表するセレクトショップとして存在感を示しているO。今年は初の大阪への出店も予定するなど、ますます勢いを増す同店のディレクターである吉田さんが、世界一と​​謳うシューズブランドからの一足をご紹介。

「MIDORIKAWA RYO に O のエクスクルーシブモデルを製作依頼したレザーシューズです。僕自身も世界一だと思うシューズデザイナーである緑川は、自身の工房で全工程を自らの手で行なっています。彼の靴づくりに対して向き合う姿勢をリスペクトしていて、僕の足元は基本的には緑川が作る靴で充実させていきたいです。個人的にはもっと日本国内でも、世界的にも評価を得てほしいし、評価されるべきシューズブランドと感じています」

ショールームの OVER RIVER からデビューしたレザーシューズブランド  MIDORIKAWA RYO。デザイナーの緑川遼​​は、浅草の靴メーカーでの修行を経た後に独学で靴作りをスタートし、独自の手法で靴作りを行なっている​。そんな同ブランドのシグネイチャーである、3WAYシューズをベースにした O のエクスクルーシブモデルは、シンプルながらも印象的なスクエアトゥが目を引く。アッパーにはキップレザーにウレタンを仕込むことでフィット性を持たせ、その見た目の美しさに反して、ソールは耐久性とグリップ性に優れるラバーソールなのも魅力的だ。

MIDORIKAWA RYO 1way Shoes ¥44,000
O
TEL:03-6455-3361​

吉田 拓
O / KAIKO ディレクター

2012年にO 代官山 本店をオープンし、現在は代官山エリアで3店舗展開する。2023年3月には大阪の天満にO 天満店のオープンも予定している。

EDISTORIAL STORE

セレクトショップと言えば最新のブランドやコレクションをキュレーションするのが一般的だが、スタイリストの小沢宏さんが手がける 長野県上田市の ​​EDISTORIAL STORE では、そのユニークな試みが話題を呼んでいる。ブランドの倉庫に長年眠るデッドストックを小沢さんの審美眼を通してセレクトし、“ライブストック”として世に送り出しているのだ。今回はそんなお店のコンセプトを象徴するような​​アイテムが登場。

「EDISTORIAL STORE では、セレクトしてきたアイテムに新たなアイデアと手を加えてリリースする、“マッシュアップ”というカテゴリーがあります。このジャケットはその中でも、REKROW というプロジェクトと一緒に作ったかなり手を加えた商品です。REKROW は広島を拠点に、瀬戸内海の造船業に携わる工員が着る作業着の使い古しを回収、解体して新たな形へと生まれ変わらせるプロジェクト。そのディレクターが昔からの友人で、今回協業することになりました。一つ一つを手作業で解き、パーツ毎に分類し、それを綺麗に洗って......と気が遠くなるような作業を経て生まれ変わったパーツを、ライブストック化したキルティングジャケットに“移植”しています」

マッシュアップかつ究極のライブストックとも言える一着。解体された作業着のデニム生地は、REKROW の拠点である広島がデニム産地の岡山県と隣接していることから、高品質なデニムブルゾンとデニムパンツがリソースに。さらに EDISTORIAL STORE の隣にあったテーラーから、オーダー服に使われていたボタンを譲り受け、それらをジャケットに使用するなど、世界中どこにもないオンリーワンの一着に仕上がっている。

EDISTORIAL STORE MASH UP with REKROW
価格未定(3月販売予定)
EDISTORIAL STORE
https://edistorialstore.com/

小沢宏
スタイリスト、EDISTORIAL STORE​​ オーナー

スタイリストの御供秀彦氏に師事し、POPEYE編集部でキャリアをスタート。独立後は様々な雑誌やブランドでのスタイリングを数多く手がけ、2003年には自身のブランドである Numero Uno を立ち上げる。2022年に地元、長野県上田市に EDISTORIAL STORE オープンした。

KIKUNOBU

藤田宏行が手がけるメンズブランド JieDa の旗艦店としての顔も持つ KIKUNOBU TOKYOでは、ニュートラルをコンセプトにする幅広いアイテムを取り扱いながら、同店のフィルターを通したスタイルを提案している。バイヤーとして活躍する西さんがレコメンドするのは、デニムの王道へ新たな命を吹き込んだアイテム。

「“消費”をテーマにした BASICKS 初となったランウェイショーで発表された、ヴィンテージのLevis 501 をアップサイクルしたストレートデニムです。世界最大手の物流会社 DHL の巨大な倉庫を会場に披露された、アイコニックでシーズンを象徴したアイテムだと思いバイイングしました。個人的には、企業モノの古着なども普段から探しているので琴線に触れました。

BASICKS のファーストシーズンから使用されているユニセックスで着用出来るウエストのディテールや、ユーズドストックをアップサイクルしたサスティナブルな観点など、ブランドの一貫した姿勢が反映されています。ユーズドアイテムを使用しているため、サイズ感や色落ち具合、ダメージ感や紙パッチの破損などを含めて同じモノはなく、全ての商品が完全に1点物な点も魅力ですね」

CHRISTIAN DADAの元デザイナーである森川マサノリが率いるBASICKS と DHL による異色のコラボレーションアイテム。Levis の中でも言わずとしれた名作のヴィンテージをアップサイクルし、バックポケットのハート型ステッチデザインやDHLの企業ロゴがアクセントに。右ウエスト部分に配したボタンを使用することでウエストが調整できるため、フィット感をアレンジして着用できるのもポイント。

BASICKS × DHL Upcycled uniform / Vintage Levis 501 24,000
KIKUNOBU TOKYO
TEL:03-6455-0535

西一馬
KIKUNOBU TOKYO バイヤー

2013年に販売員としてKIKUNOBUに入社後、現在はバイイングやショップディレクションに従事する。ミラノで発表された JieDa 22SS デジタルコレクションでは、楽曲の制作を担当し、音楽活動にも精力的に取り組んでいる。