
「洛中洛外図」のように町のにぎわいがびっしりと描かれた絵。侍たちが敵味方に分かれてにらみ合う合戦図。よく見ると洋服を着た人がいたり、戦車が走り回っていたりする。山口晃の絵には時代を超えたモノや人が細かく描き込まれて、見れば見るほど引き込まれてしまう。
見る人の目が絵の中に入り込んでしまうような作品を発表してきた山口だが、今開かれている個展は少し違う。2つに分かれた会場の一つでは、ほぼ等身大の四天王像が観客を取り囲むように並ぶ。生き生きとした躍動感には作者の確かな腕が感じられる。四天王に守られているような気分にもなる。
もう一つの会場では、小さなブースに立つと居並ぶ男たちに囲まれる。武器を携えた男たちの列ははるか後方まで続く。こちらを見据える彼らの像は墨一色だ。流れるような線で描かれて、今にも動き出しそうな迫力がある。
「片目で手前から順ぐりに見ていくうちに奥行きが出てきます。二次元で造られたパノラマが三次元的に感じられるようになる」
絵の中に観客の目を招き入れる絵画から、見る人の身体を取り囲み、空間を変容させる絵に。山口が大きな転換点に立つことを感じさせる個展だ。
Text:Naoko Aono
四天王立像「持国天」
(制作中・2006年)
四天王立像「廣目天」
(制作中・2006年)
四天王立像「増長天」
(制作中・2006年)
撮影:二塚一徹
Courtesy Mizuma Art Gallery
山口晃個展「ラグランジュポイント」
2007年1月20日まで
[問]ミヅマアートギャラリー
11:00〜19:00
日・月・祝日、12月27日〜1月8日休廊
東京都目黒区上目黒1−3−9 藤屋ビル2F
tel. 03-3793-7931
http://www.mizuma-art.co.jp



